境界性パーソナリティ障害(見捨てられ不安)は、『愛着形成』・『安全基地』を上手く築けなかった為に起こります。
愛着形成・安全基地に支障がある場合、大抵が『愛着障害』と結び付きます。
何故なら、愛着障害の主な根本原因は親子関係を筆頭とする親密な間柄だからです。
ですから、愛着障害が元になって境界性パーソナリティ障害になるパターンは少なくありません。
自分にとって愛着形成と安全基地になる人とは、同じ人になります。
だいたいは、親ですが、配偶者等の親密な男女関係も含まれます。
そして、その人と自分が関わる最も大切な場所も含まれます。
例えば、一緒に住む家です。
その場所は、社会生活の中で傷付いたり疲弊した後に、または何気無い1日の終わりに帰って来る事ができ、心身の休養とお互いの交流の後に再び社会へ出ていけます。
しかし、安全基地は、
『相手への依存の楽園』
ではありません。
では、愛着を再形成しがら、安全基地を構築していくとは、どういう事なのか?
簡単に言うと、
● 親子関係がある生物らしく生きる為に最も大切な関係
● 脳と自我が発達した社会性動物らしい人との繋がり
です。
子育てがある生き物としての人間は、親に見捨てられたら生きていけません。
だから、親に好かれないと、子供は生命の危機に陥ります。
また、親子関係がある生き物は情緒が発達しています。
人間なら尚更です。
子供が生まれた時から一番身近で気持ちのやり取りが出来るのが親です。
親子関係がある生き物としても、情緒と思考が発達した人間としても、生命と運命を握り、親に繋がりを求める子供。
親に育てられ、気持ちのやり取りをしながら心を成長させていく子供は、親子関係であった事をそのまま親以外の関係に当てはめます。
子供の生命、運命、気持ちを左右される親子関係の学習により、他人や団体、社会に対する対応を応用するのです。
子供から見て感じ続けてきた親子関係が、生命や運命を脅かし、心や身体の交流やスキンシップが上手くいっていないと、親以外の人間関係や社会関係も、危険、絶望だと受け取ります。
そして、親以外との人付き合いに親子関係で培った意識の通りにしていく中で境界性パーソナリティー障害になっていきます。
病気の独り歩きですね。
もはや親が関わらなくても、病状が悪化していくのです。
人間が社会性動物である為に、精神疾患の根本原因が親であっても、親以外の人間関係によって、更に病状を悪化させます。
逆に、親子関係が良くても、恋人やパートナーなどの親密な関係が原因で境界性パーソナリティー障害になる事もあります。
その為、境界性パーソナリティー障害は『絆の病』とも言えます。
境界性パーソナリティー障害を改善するには、カウンセラーなどの専門家による心理的なアプローチは大きな助けになります。
しかし、肝心要は、境界性パーソナリティー障害の方が、ご自身の人との繋がりを再構築していく事です。
この繋がりの再構築で最も効果を上げるのが、愛着の再形成と安全基地の再構築です。
例えば、親子関係の修復が難しい場合、または不可能な場合であっても、社会性動物である人間は、親以外でも、愛着の再形成と安全基地の構築が可能です。
交際関係や夫婦関係などの、成長してから築いた親密な関係のこじれであっても、同じ人や別の人と繋がり直せます。
愛着を築いていく人と交流を続ける事によって、これまでの関係では愛着形成が出来なかった人に、思い遣り等の愛の人間性が生まれ育ちます。
そして、愛着関係の人との相互信頼、相互愛を基に安全基地も構築されます。
境界性パーソナリティ障害は、愛着形成と安全基地が出来ない末に発症する一つの問題であり、病気です。
パーソナリティー障害の基準は、
『人間として集団の中では生きる事が不可能、または困難な性格・人格』
です。
境界性パーソナリティ障害の方は、個人的な関係と社会的な関係の両方において、必ず過剰に傷付きます。
過剰に傷付いた時、親などの親密な関係の人と築き上げていく愛着形成と安全基地が無かったらどうなるか?
病的な孤独と絶望は、貯まる一方だったり、増幅したりする事が多いので、改善しません。
更に悪化して、私の様に過食症などの摂食障害やパニック障害にもなるかもしれません。
他には、万引き依存症、アルコール依存症等の依存症もありえます。
健常者でも、絶望から独りで立ち上がる事は、難しいでしょう。
境界性パーソナリティー障害なら尚更難しいです。
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【まとめ】
愛着の再形成と安全基地の再構築は、
1️⃣ 自分自身と他人への愛を生む。
2️⃣ 傷付き戻って癒し、また飛び出していく繰り返しを可能にする。
3️⃣ 人と共に生きていくパーソナリティに変える。
4⃣ 生き意思の復活と成長を促す。
故に、境界性パーソナリティ障害には、
愛着の再形成と安全基地の再構築が必要です。
その再構築は、愛着障害の克服にも繋がります。
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簡潔に言うと、本来得られるはずだった親からの愛を、親以外の誰かと一緒に作って育てるという事です。
親からの愛は、夫や妻等の親密な男女関係のパートナーからの愛にも当てはまります。
境界性パーソナリティ障害を克服していくには、親やパートナーから貰えるはずだった愛を無い物ねだりする事に踏ん切りをつけなければならない時もあります。
その一番大きな理由は、境界性パーソナリティー障害の方の生命の時間は減り続けるからです。
境界性パーソナリティ障害は、中年期になると落ち着く事が多いと言われています。
百発百中で落ち着いたとしても、若く前途ある歳頃は終わっています。
僕自身、中年と言われる歳頃に境界性パーソナリティ障害を克服しました。
しかし、時が勝手に境界性パーソナリティ障害を克服していった訳ではありません。
心の取り組みを続けながら実生活の出来事に取り組んでいったからこそ、自分を変えていけました。
人がよく誤解するのは、時が解決するのではなく、時が経ていく中で起こる出来事によって、人格が変わっていくのです。
ですから、大きな気付きや衝撃、覚醒や悟りの様なモノを積み重ねていければ、境界性パーソナリティ障害を克服していける可能性はあります。
しかし、良い変化が起こる事に確実性はありません。
ですから、偶然に身を任せるだけでは、境界性パーソナリティー障害を克服する可能性を下げます。
境界性パーソナリティ障害を出来るだけスムーズに克服するには、次の2点が大切です。
① 境界性パーソナリティ障害を克服していく為の指導を受け続ける。
② 当事者(できれば周囲の方々も)が克服する努力を実生活の中で続ける。
①は、おかしなパーソナリティはなかなか自分では解り辛いのと、認めにくい所があるので、キチンと指摘して貰い、変えていく指示を受ける方が、改善していく確実性が増えます。
もう1点、まずは指導者と当事者の間に、愛着の再形成や安全基地の再構築の基礎になる信頼関係を作ります。
誰とも信頼や安心の無い状態で絆の病である境界性パーソナリティ障害を克服しながら人との繋がり直しをしていく事は、難しいです。
ですから、克服が終わるまでの間だけの仮の愛着形成と安全基地の構築をします。
とは言っても、真心同士でやってこそ、築ける愛着と安全基地です。
②で主にやる事は、人との繋がり直しです。
指導者との繋がりを杖にしながら、当事者自身が自分の生活の人との繋がり直しを続けます。
失敗や傷付き、困難に陥ったら、指導者に相談したり、心理スキルを受けるなどして癒しや新しい知識等を得て、実生活に活かす事を続けます。
自分の生活は、自分のモノであり、自分でやり直すからこそ、意識に変化が起き、パーソナリティや、脳や精神などの身体そのものを変えていきます。
その結果、人との繋がり方が社会生活を円滑に送れる程度になったら、寛解です。
そして、指導者との関係は終わり、自分で人との繋がりに対応していきます。
ただ、親子関係、パートナー関係などの家族の様な親密な関係を作らなければ、境界性パーソナリティ障害を克服できないという訳ではありません。
友達、仕事関係、知人関係、趣味の関係など、人間という社会動物特有の絆を作り、大切にすれば良いです。
ですから、一生独身を選んでも構わないですし、独身だから克服できない、親との関係が良くならないから克服できない事はありません。
実際、私は母親が亡くなった後に、母親を赦し、受け入れました。
愛着関係や安全基地は、親子関係だけに範囲を決めてしまう風潮があります。
愛着はアッタッチメント(attachment)です。
まさに人との触れ合い、絆です。
安全基地についてもです。
親やパートナー以外の人に会っても、勇気づけられたり、癒されたりする事はあるでしょう。
「私は、親子関係がダメだった、パートナー関係がダメだった。」
と、落ち込まなければならない事はありません。
あなたにとっての個人間や社会的な繋がりを愛着や安全基地としてしまえば良いのです。
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