うつ病になりやすい体質など、先天的な部分の議論は別にして、後天的な影響によって精神疾患が発症するには、きっかけがあります。
発症するパターンは次の2つになります。
- 1つの出来事
- 出来事の回数や期間の積み重ね
発症の原因や理由は何であっても、ひとくくりにしてしまうと、トラウマ、つまり、心的外傷から復帰出来ていない事によって、精神心理を病むのです。
親子関係が心的外傷の場合、愛着障害や境界性パーソナリティ障害になりやすいなど、傷付いた心が何かの精神疾患に結び付くという流れです。
心が傷付くと、臨戦態勢やショックでうちひしがれた状態になります。
傷付いた状態から通常の精神状態に戻れるなら、意識や、脳などの身体の働き方が健康なレベルに戻るので、精神疾患になりません。
例えば、
- 時が解決する
- 誰かに話す
- 起きた事を処理する
といった事がショックを和らげられれば、元の精神状態に戻っていきます。
しかし、
- 1回のショックが大き過ぎた
- ショックが度重なる
という場合、普通の精神状態に戻れない事があります。
上の2つに、
『ショックから回復の軌道に乗れない』
という事態が重なると、ショックの大きさ、回数、期間に関わらず、ショックから回復できません。
例えば、
- 環境買い邪魔をする
- 周囲の理解や助けを得られない
というモノがあります。
ここで、ショックから回復してもしなくても、人間の本能が働きます。
特に、ショックから回復しない場合、本能は異常な働き方をします。
その本能の中で、今回は3つを取り上げます。
① 異常な警戒心
② 記憶からの消去
③ 意識の乖離
そして、最後に異常化した自己防衛本能を回復させ、精神疾患を改善させる道筋をお話しします。
【① 学習による警戒心】
人間は学習能力によって、心身の危険を繰り返さない様に、警戒アンテナを張り巡らせます。
アンテナは、もっともっと広範囲に、敏感になっていきます。
警戒心が強くなっていくんですね。
もし、健康な意識レベルで対処できる警戒や注意などの対策なら、実を守る為の大切な機能として有効に働きます。
しかし、ショックが消えない場合、警戒心が異常に強くなっていきます。
警戒心の異常さが、社会生活を送るには支障があるレベルに達すると、病気と言われます。
どんどん警戒心を高めるので、症状を起こす生活範囲が広くなり、症状を起こす強さが増していきます。
病気と判断されるレベルなので、脳、精神、身体の働き方が普通ではあり得ないモノになります。
警戒心に関係がある精神疾患は、
- パニック症(パニック障害)
- 愛着障害
- 境界性パーソナリティ障害
- うつ病
- 拒食症
などがあります。
【② 記憶からの消去】
記憶の消去は、記憶喪失という言葉でご存じの方々もいらっしゃると思います。
記憶喪失を起こす原因には、おおまかに次の3つがあります。
- 頭を打つなどの物理的な力
- 痴呆症などの病気
- 精神、意識を健全に保つ為の自己防衛本能
今回取り上げるケースは3つ目の、
『意識を健全に保つ為の自己防衛本能』
になります。
この自己防衛本能が精神疾患の
- 原因
- 慢性化
- 重症化
に関わります。
ショックな事を記憶から消してしまうと、ハッキリ経験した事実として思い出す事による意識へのダメージは減る、または無くなります。
たとえば虐待の場合、いつ起こったどんな出来事かを思い出して心が傷付かないという事です。
しかし、怖かった事や悲しかった事など、ショックを受けた事は心身に刻み込まれています。
その結果、ショックを受けて心身が起こした反応と似た反応を起こす出来事に出会うと、似た反応をするのですが、過去受けたのは強烈なショックだった為、過剰または異常な反応をしてしまいます。
他の人から見ると、
- ねじ曲がった捉え方
- 異常または奇異な言葉と振る舞い
として映る事があります。
当事者の方と回数を重ねて合う方の場合、当事者の方の言動に対して、はじめは何とも思っていなかったり、初めてでビックリした程度だったとしても、回数を重ねると、異常さに気付く時もあります。
一度で警戒される程であっても、回数を重ねて異常さに気付いたとしても、当事者の方と接した方は、距離を置くなどして、関わり方を疎遠にしようとします。
その結果、知ってか知らずか、人間関係を壊していくなど、生き辛い状態へと自分で自分を追い落としていきます。
病院で、例えばPTSDなどの精神疾患と診断されなくても、症状としては、ショックが消えずに残り続け、社会的な日常生活に支障が出ているので、実際には精神的な異常が出続けているという実態があります。
ですから、病院に行って、どんな精神疾患ではないと診断されても、診断基準に照らし合わせただけの結果としての診断なので、実際に上手くいかない生活や、異常な言動を病気だと診断されない時があります。
精神的な問題に権威を持つ誰かがおかしいと認めてくれないので、事態が改善しにくく、悪化しやすいのです。
しかし、診断されなくても、自分の意識や言動がおかしい為に生活が悪くなっている事実があります。
それならば、心理的なスキルや療法を使うなどして、隠れた精神的な問題を取り扱う事によって、改善の可能性を高めていけます。
【③ 意識の乖離】
意識の乖離は、今起きている事など、何かの物事や状態に心が耐えられないので、意識を身体から切り離す事です。
例えば、
- 自分が自分ではない感覚
- 目の焦点が合わない
- 別人格になった感覚
といったモノがあります。
二重人格や多重人格などの人格の分裂も意識の乖離だと言われています。
また、過食症の方が、過食をする時の意識も乖離状態の時があります。
過食を始める時、過食をしている時、過食の後などの時に感じる嫌な感情や気持ちを追いやる為に乖離します。
過食時に起こる意識の乖離は、過食症だった時に私にもありました。
- 罪悪感
- 自分に向けられる他人の目線や思いの妄想
- 現実
こういった感じたくないモノを感じなくする為に乖離、つまり気持ちを封印します。
そして、過食などの心地良い精神世界や無感覚な意識の状態へ避難します。
精神的な病気と診断されても、されなくても、この避難癖が続くと、癖の慢性化、重度化が進む可能性が高くなります。
【異常になった自己防衛本能の改善方法】
警戒心・乖離・避難など本来心身を守る能力の異常さについては、
「警報装置が働く調整機能がズレてる」
と、考えれば
「症状を対処できる」
と、自信を持ちやすいでしょう。
危険から身を守る本能の機能が失われて動かないのではなく、小さな事でも大きな事でも何でも過剰に反応してしまう設定になっていると考えてみて下さい。
そして、警報が出た時の動作も過剰になっています。
いきなり最大レベルの危険対処やパニックを起こしている様なものです。
症状を改善できる余地が残っている場合、心の傷の癒しと意識改善が症状改善の基本になります。
薬が決定打になりにくい、悪影響を及ぼす理由は、意識ではなく、生体を人為的にいじっているからです。
意識そのものの変化ではく、脳を薬効の期間だけいじっているので、薬効が切れると、程度の差はあっても症状が戻ります。
また、薬によって脳の作りが変わって脳と意識も含めた身体全部が普通ではない働きをする様になる事もあります。
一般に薬害と呼ばれているヤツですね。
普通ではない心身の働きをザックリと言えば、
「精神疾患ではない人、投薬を受けた事が無い人がする心身の働き」
と、いう事です。
記憶として脳に残っているデータと、データによる脳の働き方を変えていないので、生(なま)の意識と身体の反応が変わりません。
記憶、脳の働き方を変える為に、意識にアプローチします。
そのアプローチが、心理スキルや悩み相談だったりします。
意識が独りの世界に入っているので、ずっと閉じた意識の負のスパイラルになり、症状が改善しなかったり、酷くなったりします。
ですから、相談など、他人に心の内を打ち明けて、話し合うという行為だけでも、症状が和らいだり、改善したりする時があります。
病気と言われる程に処理しきれていない物事であってもなくても、安心して話し合える状態を積み重ねる事によって、過去から積み重なった出来事と気持ちを処理していく事に繋がります。
良い事も悪い事も出来事は情報として脳に記憶されます。
ですから、良い事も、良い事として喜ぶなど、情報を処理できると、脳や意識の健全さが保たれたり、成長を促せます。
この情報を処理する事を、専門的な言葉では、情報処理と言います。
コンピューターの情報処理ではなくて、人の気持ち、記憶、即ち脳や心の情報処理です。
発症の原因や理由は何であっても、ひとくくりにしてしまうと、トラウマ(心的外傷)から復帰出来ない事によって、精神心理を病みます。
解りやすく言うと、例えば、親子関係が心的外傷の場合、愛着障害や境界性パーソナリティ障害になりやすいなど、傷付いた心が何かの精神疾患に結び付くというカラクリです。
悪い事も、キチンとケアするなど、処理できれば、人としての健全さや成長を促せます。
逆に良い事も、何ともない事も、キチンと処理出来ていなければ、トラウマと似た作用を起こし、身も心も病みます。
要は、気持ちに合った事を出来ているかです。
気持ちに上手く対応していく事が、誰かからかけて貰う温もりや共感、自分から誰かへの気持ちの分かち合いなどの人との関り合いであったり、心理療法やカウンセリングスキルだったりします。
この気持ちへの対応が自然治癒力を助け、精神状態を回復させ、病気と言われるレベルを脱していきます。
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